■気になる森保監督の「ゲームビジョン」
気になるのは、森保監督が思い描く試合に対する「ゲームビジョン」。どういうビジョンを持ってサウジアラビア戦に臨むのだろうか。
10月5日の会見では酒井に、「試合の状況、残り5分で(点数状況が)1対1だったら行くのかとかそういう判断はどうなるのか。サイドバックだけに(ベンチからの)指示を伝える役割だと思われるが、中央の選手たちが自分たちで判断するような形なのか」という質問が投げかけられた。
これに対して酒井は、「難しいですね。もちろんベンチからの声もあるだろうし、ラスト5分というのはみんなしゃべる時間は全くないと思うので、自然と共有できるチーム状態に練習でもっていかないといけないと思います。空気感がすべてだと思います。二次予選と最終予選が違うという空気を共有していくことで、どれだけ大事な一戦に臨むかというのが決まってくると思うので、その雰囲気はみんなで出さないといけない」と答えている。
アウェイのサウジの地、終了直前の極限の状態でピッチ内で会話がままならないというのは確かにある。しかし、その際、事前に森保監督が用意したプランや、ベンチからの指示よりも“空気感”を重要視する、という認識で、実際にプレーする選手たちは大丈夫なのだろうか。
遠藤、酒井のインタビュー会見での発言から浮き上がるのは、森保ジャパンのビジョンの不透明さかもしれない。もちろん、試合前に選手がすべて手の内を明らかにするはずもないのだが、酒井はサウジアラビア戦について「やってみないとわからない」と会見で重ねて発言し、はっきりとしたゲームプランについての指示がないのでは、と思わせるところもあった。
心配が杞憂に終わり、サッカー日本代表がしっかりしたゲームプランを示し、難敵サウジアラビアのホーム・ジッダで勝ち点3を得ることを期待したい。