大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第79回「ワールドカップ、ポスターは世に連れ…」(3)「サッカー選手は現代の剣闘士、ワールドカップはパーティー」の画像
「古くて新しい」2018年ロシアワールドカップのポスター
■【画像】遺跡にシルエットが映る芸術性の高い86年メキシコ大会や、モノクロのスタジアムに色鮮やかなピッチが浮かぶイタリア大会などのポスター

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、「大会のシンボル」。ワールドカップのポスターについて、サッカージャーナリスト大住良之がひも解く。

 1978年アルゼンチン大会では、「ベンレイ・ドット」というカラー印刷の手法を思わせるイラストが使われている。得点を取って両手を上げているのは、レオポルド・ルーケ、抱きついている背番号8はオスバルド・アルディレスに見える。ふたりとも当時のアルゼンチン代表の中心選手である。このポスターも、1970年メキシコ大会と同様、「ARGENTINA 78」という文字だけが大きく目立つようになっている。

 そして1970年代に顕著になった「アート風ポスター」の極致が1982年スペイン大会である。パブロ・ピカソ、サルバドール・ダリなどとともに20世紀のスペインを代表する画家であるジョアン・ミロが書き下ろしたもので、白地に赤と黄色を中心とした見事な芸術作品になっている。この制作にあたったとき、ミロは88歳だった。大した気力である。翌年末、90歳で亡くなった。このポスターなら、おしゃれなカフェに飾るにも十分で、現在も高値で取引されている。

 この大会はスペイン全土の14都市、計17スタジアムが会場となったが、初めて開催都市ごとのポスターもつくられ、工夫が凝らされたものがそろった。この形は、以後の大会でも続けられていく。

PHOTO GALLERY ■【画像】遺跡にシルエットが映る芸術性の高い86年メキシコ大会や、モノクロのスタジアムに色鮮やかなピッチが浮かぶイタリア大会などのポスター
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