■自分のペースを最後まで崩さなかった

 前半、長友がボールを受けようと追い越す動きをしてもなかなかパスがこなかったが、背番号50がそれで不満を見せることは決してなかった。タイミングが合わなくても笑ってサムアップポーズを出し、何度ボールが出てこなくても駆け上がって選択肢として存在し続けることで相手を苦しませることを欠かさなかった。自身の攻撃の機会を持っていってしまうアダイウトンがドリブル突破に失敗しても、優しく励まして次も恐れずチャレンジするよう促した。

 縦の関係になっていたアダイウトンや近くでプレーした安部柊斗だけにではなく、長友はチーム全体に声をかけ続けた。プレーが切れれば檄を飛ばし、飲水タイムには逆サイドの小川諒也とコミュニケーションをとり、セットプレーでは後方から全体を見て指示を送った。

「細かい戦術や、ライン上げ、セカンドボールを拾う、全体をコンパクトにするなど、いろいろな声をかけた」と振り返った長友は「一番はみんなのモチベーションを上げる声」と続けた。

 試合後には左サイドバックを譲ってくれた形になった小川と肩を組んで勝利を喜び、気配りを欠かさないらしさも見せた。

 彼はこの試合までのトレーニングでも「もう1回このチームの士気を上げる。勝利に対する熱量を上げることをみんなに伝えていた」と明かし、長谷川健太監督は「1人熱を持った選手が入ることで(それが)チーム全体に伝播していって、不思議なものだと感じた」と目を細めた。

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