■オマーン戦の主審は、おそらく「A型人間」
話が横道にそれてしまった。コーナーフラッグポストの話である。
ポストはピッチの角に設置される。通常、ゴールラインもタッチラインも12センチの幅で引かれているから、その2本のラインが90度で交わるコーナーの部分には、角から17センチ近くのラインの部分があることになる。
さて、コーナーフラッグポストは、針金のような細いものではない。昔は木製、現在はプラスチック製で、ある程度の太さがある。針金のようなものであれば、「角」、すなわち、白いラインのいちばん外側の角のところに設置すればいいのだが、太さのあるフラッグポストはどこに立てるべきか―。
これには実は混乱があったらしい。正しくは、図の黄色い丸印のところ、すなわち白いラインの外側に接するように置く。白いラインは「ピッチ内」である。フラッグポストも、その全体がピッチ内になければならない。破線で示した右下の2カ所、フラッグポストの外になお「ピッチ」があるのは明らかな間違いだが、日本では、2002年までは、ピッチの角にフラッグポストの中心を置く、もうひとつの破線の位置に設置されていたという。
オマーン戦を吹いたモハンメド主審は、おそらく「A型人間」だったのだろう。「B型」の鎌田大地が適当にピッチに指したフラッグポストが「2センチも」ピッチ外にはみ出していたのにがまんできず、自分で「正しい位置」に差し直したのに違いない。ちなみに、アラビア半島では、「B型」は日本よりずっと少ないらしい。しかし12分間もの長きにわたってフラッグポストが45度も傾いていたとは!
距離はあっても、バックスタンド側の副審ならわかりそうなものだが、倒れていたのがゴール裏方向だったので、見えにくかったのかもしれない。責任があるとすれば、メインスタンド側の副審だろう。原口がボールを押さえきれず、ゴールキックになったのだから、当然、ゴールラインまで移動してゴールキックの合図をしたはずだ。そのときに、フラッグポストが大きく傾いているのはわかったはずだ。
ルールには「直立していなければならない」とは書かれていない。実際のところ、固いグラウンドではまっすぐに指すことが難しく、少し傾いているコーナーフラッグポストはよく見る。しかし45度も傾けばプレーヤーの危険にもつながる。あのポストの状況は、主審から第4審判を通じて試合の運営サイドに連絡し、プレーが切れたところで差し直すべきだったと、モハンメド主審と同様(かどうかは想像にすぎないが)、「A型人間」の私は思うのである。