■インターハイ優勝の陰にビルマ人留学生あり

 チョウディンというビルマ(ミャンマー)人留学生が日本のサッカーを指導したという話はお聞きになったことがあるだろう。日本サッカー殿堂にも掲額されている、日本サッカー界の恩人の一人だ。

 チョウディンは東京高等工業学校(現、東京工業大学)紡織科の留学生だったが、同時に走り高跳びなどで鳴らしたスポーツマンでもあった。ある日、早稲田高等学院のグラウンドを借りて走り高跳びの練習をしている時に、早稲田のサッカー部が練習しているのを見かけて指導を買って出たのだという。チョウディンなど3名のビルマ人が指導した早稲田高等学院は第1回のインターハイ(旧制高等学校の大会)で優勝。チョウディンの名は全国的に有名になった。

 ビルマ(ミャンマー)は英国植民地だったインドの一部で、同じく英国領だった香港と並んでアジア大陸のサッカー先進国だったのだ。彼らの目から見たら、日本人学生のサッカーはあまりにも初歩的なものだったのだろう。

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