サッカーは無数のディテールであふれている。重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「ピッチの額縁」とも言えるスタジアムを彩る存在の話。現在ではプロの試合とはわかちがたく結びついた、ずらりと並んだ看板についての意外な事実をサッカージャーナリスト大住良之が語る。
今回は広告看板の話である。タッチラインの外、そして両ゴール裏にずらりと並ぶ高さ1メートルほどの看板は、プロの試合と不可分のものとなった。ユニホームの胸広告と同様、いまではなければ寂しいほどで、商業広告を入れないオリンピックの試合では、わざわざボードを立て、オリンピックマークや会場名などを入れている。
Jリーグでは、バックスタンド側のタッチライン外にJリーグとJリーグのオフィシャルパートナーの広告看板が並ぶ。ただしタッチラインいっぱいに並ぶのはJ1の試合だけで、J2とJ3の試合では中央部だけとなり、その両側はクラブスポンサーの広告看板になる。Jリーグは電光式の広告看板(Jリーグは「LED看板」と呼んでいる)を自前で1セットもっていて、その節のメインの試合(主としてNHK・BSなどテレビ放送がある試合)で使われ、残りの試合は固定広告の看板が使われている。
広告看板1枚の大きさは、Jリーグでは、通常の固定看板だと高さ90センチ、幅が6メートル、「LED看板」は高さ110センチとやや背が高く、幅は「102メートル40センチ」とされている。しかしもちろんそんな大きな1枚もののディスプレイがあるわけではなく、たとえば幅1メートルのディスプレイを100枚隙間なく並べて、1枚の巨大スクリーンに見立てるという仕組みだ。