■監督交代による「攻撃サッカーの継承」

「SBの攻撃参加」というのは、アンジェ・ポステコグルー監督の下、超攻撃的サッカーで優勝を遂げた2019年の時も横浜FMの最大のストロングポイントだった。

 だが、2019年の横浜FMのSB(右が松原、左がティーラトン)はタッチライン沿いにオーバーラップを仕掛けるのではなく、インサイドハーフのポジションに上がって、そこからフィニッシュの段階のラストパスを通すプレーが多かった。

 時には、相手陣内深く、バイタルエリアあたりまで両サイドバックが同時に進入して互いにパスを交換する。そんな場面も見受けられた。

 ただ、翌2020年シーズンに入ると、両SBが同時に攻め上がる横浜FMの動きに付け込んで、相手チームがSBの上がった裏のスペースを利用するようになっていった。そこで失点が増えたことも、2020年に横浜FMが順位を落とした(9位)ことの原因の一つだった。

 そのため、SBの攻撃参加を控える場面も多くなり、今シーズンに入ってからもSBの攻撃参加のタイミングの見極めが大きなテーマになっていた。

 そんな中、ポステコグルー監督がスコティッシュ・プレミアリーグのセルティックの監督となって横浜FMを退任。暫定的に松永英機氏が指揮を執った後、8月から後任のケヴィン・マスカット新監督が就任した。

 マスカット監督は、かつてポステコグルー元監督とともに戦ったこともある指導者であり、ポステコグルー路線を継承すべき指導者として招聘されたのだ。

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