■大迫が示した「前半の物足りなさ」
前半の目立った場面は、その程度である。大迫が前線に構えて相手を引きつけるのに、その周囲を使う選手がいない。そうした選手がいてもサイドバックの選手だけであっては、効率が悪すぎる。だからこそ後半に入って、それまでボールを受けに下がることもなく、サイドにも流れずに前線で我慢していた大迫自身が、動く範囲を広げることになったのだ。
49分にはハーフスペースに走り込んで縦パスを呼び、シュートへとつなげた。後半に入りイニエスタと大迫が近い距離を取ることが増え、2人のコンビネーションで攻め込む場面も増えていった。
だが、それだけでは足りないのだ。もっと大迫がつくったスペースに走り込むことで、より大迫の存在感を際立たせる存在が必要だった。後半に入って増えた大迫の動きは、明らかに前半の物足りなさを表している。
思い起こされるのは、前節の大分トリニータ戦でボックス内に侵入した武藤が大迫からのパスでPKを誘発したシーンだ。そのような場面が、武藤のような動きが、FC東京戦でも必要だった。
武藤が必要だった。そう思わせるほどに武藤の輝きがまばゆいのか、それとも神戸の物足りなさが大きいのか、どちらなのかは、まだ分からない。