■試行錯誤はむなしい結果に終わった
延長戦、相変わらずエネルギッシュに前に出てくるスイスに対し、フランスは受け身になってしまった。こういう時に監督の采配が流れを変えるが、デシャン監督はまたしても動けなかった。自ら座り込んでしまったベンゼマがピッチを退いたことと、最後に後半から投入したコマンをマルクス・テュラムに替えたことだけで、交代枠を余らせたまま試合はPK戦へ突入。5人目のキリアン・ムバッペがセーブされ、スイスが勝ち抜けた。
PKを止められたムバッペは、試合後にツイッターに下記の言葉を投じた。
「ページをめくることはとても大変です。目標を達成できなかった悲しみは計り知れない。ペナルティー戦は申し訳ない。私はチームを助けたかったのですが、失敗しました。
眠るのは難しいでしょうが、残念ながら、これは私が愛してやまないこのスポーツでときおり起こることです。ファンの皆さんはがっかりしていると思いますが、いつも私たちを信じて応援してくれていることに感謝したいと思います。
最も重要なことは、未来のためにさらに強くなり、立ち上がることです。
おめでとう、スイスに幸あれ」
スイスのヴラディミル・ペトコヴィッチ監督は試合後「イタリア戦(グループリーグ第2戦)で相手に対して高い位置でプレーすることを試みたが少し高すぎた」と語り、その試合に0-3で敗れたことで「今日は高すぎも低すぎもせず非常にコンパクトに戦えた」とした。積み上げてきたものを形にしたスイスと、ぶっつけ本番に失敗したフランス。結果だけ見れば驚きだが、試合を見ればフランスが自滅した形で、負けるべくして負けた試合だった。
大会直前からの計6試合で4パターンも戦い方を試したデシャン監督は、一体何がしたかったのだろうか?
堅実さを自ら手放してしまったレ・ブルーに、世界王者の貫録はなかった。試行錯誤の結末はそれだけだった。
■試合結果
フランス 3―3 スイス
(PK4-5)
■得点
15分 ハリス・セフェロヴィッチ(スイス)
57分 カリム・ベンゼマ(フランス)
59分 カリム・ベンゼマ(フランス)
75分 ポール・ポグバ(フランス)
81分 ハリス・セフェロヴィッチ(スイス)
90分 マリオ・ガブラノヴィッチ(スイス)