アンチェロッティのレアル・マドリード再生法(1)エゴイストたちを操縦する「ソフトタッチ」の画像
かつてともにベンチに入ったジダンの後任として、アンチェロッティがR・マドリードに戻ってきた 写真:原悦生

 2度目の挑戦が、幕を開けようとしている。

 2020-21シーズンが終了して、レアル・マドリードではジネディーヌ・ジダン監督が退任した。リーガ・エスパニョーラ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグと主要タイトルを獲得できず、次のシーズンに向けての監督交代が決断された。

 後任に選ばれたのは、カルロ・アンチェロッティだった。アンチェロッティ本人にとっては、R・マドリードでの再登板となる。

■前回登板時の極めて稀な風景

 アンチェロッティは2013年夏、ジョゼ・モウリーニョの後任としてR・マドリードの指揮官に就任した。

 モウリーニョの下、R・マドリードは混沌の中にいた。イケル・カシージャス、セルヒオ・ラモスクリスティアーノ・ロナウドといった主力選手とポルトガル人指揮官の関係性は最悪に近いものになっていた。そのタイミングで呼ばれたのがアンチェロッティだった。

 アンチェロッティはR・マドリードで何かを劇的に変えたわけではない。だが「ソフトタッチ」と称される選手マネジメントで、ビッグクラブのプレーヤーたちのモチベーションをコントロールした。

 2015年夏にアンチェロッティがクラブを去った際、彼を悪く言う選手は一人もいなかった。エゴの塊のような選手が集うR・マドリードというチームでは、非常に稀なことだ。

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