1999年にナイジェリアで開かれたワールドユース選手権で、U-20日本代表は、決勝でシャビ・エルナンデスやイケル・カシージャスを擁するスペインに敗れたが、準優勝の快挙を成し遂げた。日本を率いたフィリップ・トルシエ監督は、当時、アフリカ大陸では“白い呪術師”として広く知られていたという。しかし、その大会の日本報道陣に“黄色い神さま”がいたことを知る人はほとんどいない――。
■ナイジェリアでは“安全”を現金で
かなり昔のことになりますが、千葉のフクアリで試合を見た後、総武線の快速に乗って東京に向かっていた時のことです。ボックスシートの向かい側の席に座っていたアフリカ人とフト眼が合って言葉を交わしたのです。ずっと日本に住んでいるというセネガル人で、日本語もとても流暢でした。
で、「アフリカは行ったことあるか?」と訊かれたので、「ああ、ナイジェリアに行ったことがあるよ」と答えました(1999年のワールドユース選手権の時のことです)。
すると、そのセネガル人はビックリした顔でこう言ったのです。
「ナイジェリアって、治安が悪くて危険なんだろ? 大丈夫だったかい?」と。
ナイジェリアはアフリカ人にとっても、そういう印象を持たれているらしいのです。ちなみに、セネガルは古くからヨーロッパの影響を受けているので、「自分たちはアフリカの中では先進国だ」と思っています。
そういえば、『第9地区』という映画(ニール・ブロムカンプ監督。2009年)にもナイジェリア人が出てきましたね。
南アフリカのヨハネスブルク上空に大量の難民(宇宙人)を乗せた宇宙船が漂着し、その難民たちは南アフリカに住むことになったのですが、南アフリカ人から酷い差別を受けるというパロディ的なSF映画です。その映画の中に、宇宙人たちが持っている武器を手に入れようとして宇宙人を相手に取引をする悪党が出てくるのですが、これもナイジェリア人という設定でした。
「生活力があって商売熱心だけど、悪人で狂暴」といのがナイジェリア人のイメージなのでしょう。