【UEFAチャンピオンズリーグ 準決勝 2ndレグ マンチェスター・シティvsパリ・サンジェルマン 2021年5月4日(日本時間28:00キックオフ)】
無観客であることやVARの存在があることによって、ホームアドバンテージが失われていた最近のチャンピオンズリーグだが、この試合ではシティがホームの利を活かした。
5月にもかかわらず、溶けにくいタイプの氷のような雪に覆われたイティハドスタジアムのピッチは、試合前に当然雪かきが行われた。
しかし前半、メインスタンドから見て左側、シティが攻撃をしていくゴール前がペナルティマークまで緑色になっているのに対し、右側はゴールエリア以外は白いままだった。
この小さな違いは、ペナルティキックがあった場合に差になる。流れの中では、シティのゴールキーパーを務めるエデルソンはパリのケイラー・ナバスよりも少々守りにくくなってしまうが、それよりもパリが1点を逃す可能性を少しでも高めることを意図したものだった。
ピッチコンディションは、現在の環境では唯一と言っていい試合中のホームアドバンテージだ。
例えば、ボールを繋ぐチームはピッチに水を撒いてパススピードを上げ、そういうチームにフィジカルで対抗したいチームはそれ以上に水を撒いて泥のピッチにしたり、全く撒かずに試合に臨んだりする。
あるいは、芝の長さを規定ギリギリまで長くすればボールは走らなくなる。
ペップ・グアルディオラ監督自身、バルセロナ時代の2009-10シーズンにはピッチに全く水を撒かなかったジョゼ・モウリーニョ監督のインテル相手に敵地での準決勝1stレグを落とし、バイエルン・ミュンヘンを率いていた2015-16シーズンは芝を長くしてきたアトレティコ・マドリード相手にやはり敵地で準決勝1stレグを落とした。
試合前に「準決勝は決勝よりも難しい」と語っていたグアルディオラ監督が、活用できるものは全て使うことにしたのは明らかだった。