■試合運びに致命的な課題

 問題は失点シーンだけではない。むしろ深刻なのは、試合運びのコンセプトがよくわからないということだ。

 4連敗中、ホームでの3試合を観戦したが、いまの東京は試合運びに致命的な課題を抱えている。それはボールを失うと、最終ラインが引きすぎてしまうということだ。

 引くことが約束になっていれば、迅速に陣形を整えてやり直せばいい。だがそうではないため、前線から最終ラインが大きく間延びして中盤がなくなり、最終ラインが厳しい状況にさらされることになる。多くの失点が、この原理から生まれている。

 仮に最終ラインでボールを奪い返しても、今度はゴールが遠く、サポートも足りないため、前線が孤立。ブラジル勢や永井の個人技頼みの、散発的な攻撃しか繰り出せない。

 横浜戦では、ミスパス、淡白な1対1、遅い戻りといった致命的なミスが相次いだ。

 だが私は、選手個々を責めようとはあまり思わない。責められるべきは、適切なゲームプランを授けられない指揮官だと思うからだ。機能を欠く組織の中では、個々人の気力や闘志は空まわりし、集中力も持続しない。

 後半の飲水タイム、給水に集まる選手たちを長谷川監督が叱咤激励したり、綿密な指示を与えたりするような光景は見られなかった。ピッチにもベンチにも、どこか白けた空気が流れている。

 まだリーグは3分の1を終えたばかり。悲願の初優勝を狙うのならば、立て直しには一にも二にも監督交代しかないだろう。

 

PHOTO GALLERY FC東京対横浜F・マリノスの写真 20210501
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