■ヘタフェというチームでの限界

 しかし、自由を与えられた代わりに、求められることの難易度は高かった。ボールを持っても味方のサポートはなく、久保を抑えるために複数人を使ってくるカディスに対して個人で最後の部分まで持っていかなければならなかった。久保のところに人数をかけている分、周りが動いて空いたスペースを突けばチャンスが拡大するはずだったが、そういうプレーはなかった。

 他にも、流動的に動くことができた一方で右サイドバックのアラン・ニョムの上がりと被ってしまう場面があり、今のヘタフェというチームの中で自由を与えられることの限界が見えた試合となった。

 久保はハーフタイムに引き上げる時、そして後半ピッチに出てくる時にもニョムとしきりに話して調整しようと試みたが、51分に早々と交代することになってしまった。

 調子の良さ、守備の免除、攻撃での自由、と好材料が揃ったかに思われたが、結果的に上手くチーム全体が機能しないまま、アシスト・ゴールは記録できずに終わってしまった。

 久保個人ではなくチームに問題があるものの、ヘタフェは問題を抱えたままシーズンの最後まで戦い抜き残留を目指すことになりそうだ。そうなると久保が使われる意味そのものが失われてしまうが、久保に代わって投入されたアンヘル・ロドリゲスは機能せず、さらに0-1で敗れてしまったことで再び期待は集まるだろう。

 次節はレアル・マドリードとの再戦で、その次にはバルセロナともぶつかる。久保自身は好調で、チーム全体は機能不全。この状況で久保にできることは、割り切って個人でどこまで通用するのかというのを徹底的に試すことだ。


■試合結果

ヘタフェ 0-1 カディス


■得点

64分 オウンゴール(カディスの得点)

  1. 1
  2. 2
  3. 3