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いよいよ東京オリンピックが近づいてきた。男子サッカーは3月末、女子サッカーは4月初頭の2ゲームの親善試合を終えれば、もう本番モードに入るはず。開催にはさまざまな議論があり、さまざまな不祥事もうるさいが、アスリートには、泣いても笑っても一生に一度の自国開催オリンピック。世界に羽ばたくきっかけとなるプレーヤーもいるだろう。男女合わせて58試合の観戦にあたって、これだけは知っておきたいあれこれを——。
■オリンピックのサッカーならではの難しさ
今回男子U−24とアルゼンチンの試合が中2日で東京と北九州、なでしこジャパンも中2日で仙台と東京で試合を行うのは、本大会でのこうした日程を考慮し、そのシミュレーションとするためだ。
しかも、ワールドカップでは選手登録が23人(GK3人、フィールドプレーヤーは1ポジションに2人)であるのに対し、オリンピックでは男女ともわずか18人(GK2人、フィールドプレーヤー16人)と、非常に少ない。ことしの大会は5人までの交代が許されるが、それでも勝ち進んでいくとチームのやりくりは非常に難しくなる。
登録選手数が「非人道的」にまで少ないのは、オリンピックの「肥大化」に歯止めをかけるためだ。今夏の東京オリンピックには1万1000人のアスリートが参加すると言われている。肥大化によって、オリンピックを開催する能力をもつ都市の数が限られ、立候補する都市がどんどん少なくなっている。歯止めをかけるために、アスリート数の削減を目指しているのだ。女子が12チームという変則的なチーム数から増やされないことも、登録選手数が18人というサッカーの常識からかけ離れた数に抑えられていることも、そうした「オリンピックの現在」が生み出したものだ。
当然、複数のポジションでプレーできる選手が必要になる。サイドバックであれば両サイドができる選手。ボランチとセンターバックができる選手。両サイドのウイングができる選手。攻撃的なMFだけでなく、ボランチができる選手……。こうした選手はワールドカップでも必要とされるが、オリンピックではとくにその必要度が高い。