いよいよ東京オリンピックが近づいてきた。男子サッカーは3月末、女子サッカーは4月初頭の2ゲームの親善試合を終えれば、もう本番モードに入るはず。開催にはさまざまな議論があり、さまざまな不祥事もうるさいが、アスリートには、泣いても笑っても一生に一度の自国開催オリンピック。世界に羽ばたくきっかけとなるプレーヤーもいるだろう。男女合わせて58試合の観戦にあたって、これだけは知っておきたいあれこれを——。
■ロンドン大会でオリンピックの正式競技に
東京オリンピックに出場する男子U−24日本代表チームと女子のなでしこジャパンが3月と4月に続けざまに国内で試合をすることになった。U−24は3月26日と29日に東京と北九州でU−24アルゼンチン代表と、そしてなでしこジャパンは4月8日に仙台でパラグアイと、11日に東京でパナマと対戦する。
オリンピックのサッカーは、ワールドカップとは大きく違う。今回は、オリンピックならではの特殊性について考えてみたい。
最初に、簡単にオリンピックのサッカーの歴史をふり返っておこう。近代オリンピックが始まったのは1896年。このころ、欧州大陸ではサッカーが広まりつつあったが、まだ世界的な普及には至らず、アテネで開催された第1回オリンピックは、陸上競技や水泳、レスリングなど、「根源的」といっていい競技が中心だった。「球技」はテニスだけだった。
サッカーが正式競技になるのが1908年。1900年のパリ大会、1904年のセントルイス大会、そして1906年の特別大会(アテネ)では「公開競技」としてサッカーが行われたが、正式競技として行われたのは1908年のロンドン大会が最初だった。この大会は「英仏博覧会」の一環として開催され、開会式は4月27日、閉会式は10月31日という「超ロング大会」だったが、サッカーは6カ国が参加して、大会の終盤、10月下旬に行われ、開催国の英国が優勝を飾った。
第二次世界大戦前の大きなトピックは、1924年パリ大会、1928年のアムステルダム大会のウルグアイの連覇だ。1924年のウルグアイは南米からの初参加だったが、圧倒的なテクニックを見せて優勝。世界は、第一次世界大戦で欧州が混乱している間に南米のサッカーが独自の、そして長足の進歩を遂げていたことを知る。続く1928年大会では、チリとアルゼンチンも参加し、決勝はウルグアイ対アルゼンチン。この大会での優勝が、2年後の第1回ワールドカップのウルグアイ開催につながる。