■とんでもない過密日程

 1996年大会でFIFAが「オーバーエージ3人」という妥協をしたのは、IOCが女子のトーナメントを入れることを受け入れたためだった。女子は1996年アトランタ大会と2000年シドニー大会では8チーム、2004年アテネ大会では10チーム、2008年北京大会以降は12チームの大会になって現在に至っているが、男子の「16チーム」とはまだ差がある。

 女子の12チームは4チームずつ3組に分かれてグループリーグを戦うが、その次のラウンドは男子と同様準々決勝。そのため各組2位までの6チームに加え、3位の3チームのなかで成績の良い2チームが準々決勝に進出する。すなわち、グループステージで敗退となるのはわずか4チームにすぎない。サッカーの大会としては非常にゆがんだ形であることは間違いない。

 ワールドカップとオリンピックのサッカー面での最大の違い、それは日程にある。オリンピックは基本的に2週間の大会期間しかない。そのなかでグループリーグ3試合、準々決勝からの決勝トーナメント3試合、計6つのラウンドをこなさなければならないとなると、とんでもない過密日程となってしまう。近年の大会では、サッカーは総合開会式の2日前から試合を始めているが、それでもほとんどのラウンドが「中2日」という厳しい日程で進められる。ちなみにワールドカップでは、少なくとも中3日、長ければ、中4日、中5日となる。

 オリンピックでは、総合開会式の2日前に女子の6試合、翌日に男子の8試合を行う。そして開会式の日は試合がなく、翌日に女子6試合、次の日に男子8試合と続くのである。どのチームも中2日で戦わなければならず、しかもオリンピックというのは原則として1都市での開催にもかかわらず、サッカー会場だけはその国のいくつもの都市にばらまかれ、「中2日」のうち1日は移動に費やされることになる。

※第2回につづく

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