【リーガ分析】首都を震撼させた「策略と才気」マドリード・ダービー「一瞬の攻防」の画像
コケ(左)らアトレティコは守備にも懸命だったが、最後はベンゼマ(右)に仕事をさせてしまった 写真:AFP/アフロ

【ラ・リーガ アトレティコ・マドリードvsレアル・マドリード 2021年3月7日(日本時間24:15キックオフ)】

 立ち上がりのアトレティコ・マドリードは、ジャブというよりストレート級のパンチを繰り出し、ファイティングポーズを前面に出した。激しいプレスで、レアル・マドリードを押し込んだのだ。

 そうして闘争意識を露わにしながらも、頭はクールに押さえるべきポイントをしっかり認識していた。鍵となったのは、サイドである。3バックでありながら、守備時には左サイドのキーラン・トリッピアーが下がって4バックを形成する。逆サイドでは、技術をスピードを活かして起点とすべく、ヤニク・カラスコをタッチライン際に張らせておく。カラスコはあまり下がらず、攻撃のスイッチを入れる役割を果たして、相手のサイドアタックをけん制。後半開始からレアルが左右のウィングの位置を入れ替えたことが、アトレティコがサイドを制圧していたことを物語っていた。

 先制点の場面でも、やはりサイドが鍵となった。自陣からのカウンターのトリガーを引いたのは、トリッピアーだ。前に出ていたレアルの裏を突き、マルコス・ジョレンテへと縦パスを通す。相手DFの裏の取り方、ゴール前での上体の向きをフェイトにしての右アウトサイドでのシュートと、点取り屋の魅力を凝縮したルイス・スアレスのゴールも見事だったが、先制点にはディエゴ・シメオネ監督の策略も大きく寄与していたのだ。

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