■武器は両サイドの攻撃と強力ツートップ

 京都の戦い方を整理しておこう。

 CFには元日本代表の李忠成が起用された。そして、56分には李にかわってピーター・ウタカが交代で出場した。李は35歳、ウタカは37歳で、もちろん全盛期の動きと比べたら物足りないところはあるが、やはりJ2リーグの基準の中ではかなり強力なトップということになる。そして、李やウタカと並んでセカンドストライカー的な位置には宮吉拓実がいて、彼が前線のとくに左サイドでスペースに流れてパスを引き出す質の高い動きをしていた。

 その、李(またはウタカ)+宮吉の強力ツートップを生かすためにサイドからの攻撃が準備されている。

 右サイドではサイドバックの飯田貴敬が高い位置を取り、そこにMFの白井康介、福岡慎平が絡んでショートパスを駆使しながら崩していく。一方、左サイドでは宮吉と二列目の松田天馬が絡んでタメを作る。また、左サイドバック荻原拓也の左足の強力クロスが大きな武器となる。攻撃の局面ではセンターバックの2人(ヨルディ・バイスと本多勇喜)だけを後方に残して両サイドが同時に高い位置を取る場面が多かった。

 MFの白井がハーフタイムで中野克哉に、56分にトップが李からウタカに変わり、67分に宮吉が三沢直人に変わったが、京都は基本的には戦い方は最後まで変えずに戦った。

 得点になったのは、CKとミドルシュートによるものであり、本来の狙いであるはずのサイド攻撃からトップの選手がエリア内でのシュートに持ち込む形はあまり作れなかった。だが、それでも最後までやり方を変えることなく、自分たちのサッカーを貫き通して2点を取り切ったことは評価していい(バイスの先制ゴールが生まれた時、ベンチでは2人替えの交代準備が行われていた。得点が生まれなかったとしたら、チョウ監督は何か変化を付けていたのかもしれない)。

※第3回に続く

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