■チームも変幻自在

 変幻自在なのは、こうした個人だけではない。指揮官のペップ・グアルディオラは、前半のうちに変化を施している。先制後はB・シウバの守備を1つ下げ、相手のアンカーへの警戒を強めた。ボルシアMGのへそ、まさに「背番号6」になってカンセロの裏などへのカウンターの引き金となっていたクリストフ・クラマーへのパスの供給を止めたのだ。シティは前半の45分間、ボルシアMGにシュートの機会すら与えなかった。

 後半に入り、選手の交代はなかったが、ボルシアMGは変化を加えてきた。攻撃に移る際、1トップに入っていたラース・シュティンドルが1列落ち、入れ替わるようにシャドーの位置からアラサヌ・プレアやインサイドハーフのデニス・ザカリアが飛び出す。実際に63分、その2人がスプリントして、ザカリアのクロスをプレアが「スコーピオンキック」で合わせ、あわやゴールというシュートを放っているのだ。

 そのボルシアMGの反撃の勢いを、シティはたやすく打ち砕いた。下地は前半中の選手配置変更にあった。

 フォデンと左右を入れ替え、左ウィングに入っていたのがラヒーム・スターリングだ。右サイドから移ったことで、カットインしてシュートを打てる背番号7は、ボルシアMGに新たな警戒感を呼び起こしていた。それを逆手にとったのが65分のプレー。タッチライン際で縦のラインとカットインのコースをふさぐ2人のDFを引きつけると、中央から上がってきていたカンセロにパス。続いたのは先制点と同じホットラインではあったが、ボルシアMGの選手たちがスターリングらのサイドに引き寄せられていた裏、先制点の場面とは違う相手サイドバックの大外に入り込んだB・シウバが、大きな追加点を決めた。

 一気に反撃のギアを上げようと、ボルシアMGが2人を同時交代させた直後という、この上ないタイミングでのゴール。この2点目は、ボルシアMGの戦意をくじいたはずだ。

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