ヨーロッパが強すぎる。2月11日に決勝が行われたFIFAクラブ・ワールドカップは、バイエルン・ミュンヘンが北中米カリブ代表のティグレス(メキシコ)を決勝で下して7大会ぶり2回目の優勝を果たした。ヨーロッパ勢による同大会優勝は8大会連続となる。世界一のクラブを決定するはずが、「最後はヨーロッパが勝つに決まっている」大会になっている。これでは、その存在意義に疑いを持たざるをえない。
■オリンピックを拒否するMLB
本当にハイレベルの戦いが見られるスーパーリーグの設立は時代の流れだ。問題は、それがこれまでFIFAが取り仕切ってきたような世界のサッカーの枠組みの中に組み入れられるのか、それともコロンビアのリーグのようなFIFAから独立した存在になってしまうのかだ。
たとえば、アメリカのプロスポーツは世界の統括団体とは独立した存在だ。
アメリカの4大スポーツのうち、アメリカン・フットボールは実質的にアメリカだけのスポーツだが、バスケットボールは世界で最も人気のあるスポーツの一つだ。しかし、アメリカのプロリーグであるNBAとFIBA(国際バスケットボール連盟)とでは、ルール自体が違うのだ。
それでも、バスケットボールやアイスホッケーではアメリカのプロリーグ側もオリンピックに協力して、ドリームチームがオリンピックに参加し、アメリカのプロリーグに所属している各国の選手もそれぞれの国の代表チームで活躍する(つまり、八村塁は東京オリンピックに出場できる)。
だが、野球のメジャーリーグ(MLB)はオリンピックにスター選手を派遣することを拒否している。オリンピック種目からはずされるのは、そのためだ。そして、ダルビッシュ有や大谷翔平は、オリンピックでも、WBC(ワールド・ベースボールクラシック)でも日本代表でプレーできないのだ。
もし、サッカーのヨーロッパ・スーパーリーグがそういう存在になってしまったとすれば、まさに大住さんが危惧しているような状況が生まれる。