■カタール・ワールドカップ通常開催も明言はできない

 IOCのトーマス・バッハ会長も「主戦論」一辺倒のようである。もちろん、IOC会長という立場では「開催したい」と考えるのは当然だし、正式に中止が決まるまでは開催のために万全の準備を進めなければならないわけで、そのためには強気の発言を繰り返す必要があるのだろう。たとえ裏側で「中止」や「再延期」の可能性を協議していたとしても、表向きには最後の瞬間まで「予定通り開催」と言い続けなければならないはずだ。

 そういえば、FIFAのジャンニ・インファンティノ会長も、去る2月1日にWHO(世界保健機構)のオンライン記者会見の席で「来年のカタール・ワールドカップは満員のスタジアムで開催する」と、大会の通常開催への自信を示したというニュースがあった。こちらも、“主戦論”である。

 いったい、何を根拠にそんなことが明言できるのであろうか?

 もちろん、開会予定まで半年を切った東京大会とは違って、カタール大会までは1年9か月もあるのだから、通常開催が可能になる可能性は大きい。2021年いっぱいに世界中でワクチン接種が順調に進めば、来年には集団免疫が獲得できる可能性も高い。従って、2022年に開催されるスポーツ界の2つのビッグイベント、つまり2月の冬季オリンピック・パラリンピックと11月のFIFAワールドカップは通常開催が可能になっているだろう。

 しかし、新型コロナウイルスについてはまだまだ未知の部分も多いし、ワクチンの有効性がどこまで持続するかも確認できたわけでもない。ワクチンに予期せぬ副反応が現われることもありうる。確定的なことは、何一つ言えないはずだ。

 インファンティノ会長は、どんな根拠をもって「通常開催」を明言するのだろうか。

 IOCやFIFAにとってはオリンピックやワールドカップは最大の収入源である。その収入がなくなってしまっては(もちろん、保険でカバーできるはずだが)、IOCやFIFAの活動ができなくなってしまうし、そうした団体の役員たちは今のような贅沢な生活を続けることができないはずだ。だから、彼らは大会開催に固執するのであろうか?

※第3回に続く

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