■DF同士の危うい連携

 この守備の仕方ならば、トッテナムの最終ラインはリバプールの最前線の選手だけを気にしておけば良いのだが、1人余った状態にあることでマークを簡単に受け渡せるため、自分の担当でない部分の動きを気にしやすい。新たに生まれそうなリスクを未然に防ぐ、ということがディフェンダーとして頭をよぎってしまうだけでなく、1人余っているから自分が動いても大丈夫だ、という判断が生まれる。

 2分の場面では、大きなフィードに対して1枚余る役割のはずのオーリエが最初に対応し、オーリエがマネの裏抜けを一瞬見逃すことになった。立ち上がりだったことや、ちょうどロドンとの間を使われたこともあるが、ボールが3トップに収まる、という状況ではあるので、オーリエはロドンに任せて予定通り1枚余って良い場面だったし、ロドンはオーリエに任せず自分が競りに行くべきだった。

 オーリエとロドンの危うい連携は、前半アディショナルタイムに、ついに失点に繋がってしまった。サイドにロバートソンが大きく開いていたことを見たオーリエは、マネが動き出す瞬間、合図を送ってロドンに対応を任せたが、ロドンは手前にいるミルナーを気にしていて、反応が遅れてしまった。

 ロドンは中盤のミルナーを気にせずに、3センターバックの相手は3トップ、という原則に従うべきだったし、簡単に任せたオーリエも、最終ラインに位置している場面でロバートソンを真っ先に気にしてしまうのは約束事とは違う。ロバートソンはベルフワインが対応できるようになるから、オーリエが1人余る、というのがこのプランの肝だからだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5