■堅い守備をさらに強固にする方策も
もともと、ボールが逆サイドにあれば、片方のウイングバックは余っている状態になる。リバプールの3トップの誰かが中盤に降りてプレーしようとしても3バックの1人がマンマーク状態でそこについて行く、というやり方を紹介したが、常に全員が1vs1で勝負し続けるわけではない。
ボールから遠いほうのウイングバックはペナルティエリア内のスペースを無くすために動き、リバプールの3トップのうち残りの2人が動ける場所は、残った2人のセンターバックと余ったウイングバックの計3人によって消される、という状態を作る。
簡単に言えば、2人のフォワードと3人のディフェンダー、という数的有利な状態で最終ラインを守ることができ、それが堅い守備をさらに強固なものにする。
しかも、守備時のトッテナムはフォワードのステーフェン・ベルフワインが右サイドに1段落ちてくる。こうなるとリバプールの左サイドバックであるロバートソンをベルフワイン見ることができるため、オーリエはやはり余ることになる。ロバートソンに2人で対応することもできるし、もしリバプールの3トップがそのまま最終ラインに並んだままならば、最終ラインに加わって4枚でペナルティエリアを守ることもできる。
そういう状態が確保されていれば、中盤の選手は最終ラインの守備を気にせずにジェームズ・ミルナーやチアゴ・アルカンタラを潰しに行くことができる。
この完璧に思える守備のどこに綻びがあるのか。
それは、数的優位が確保されることが前提となっている環境で発生する「マークの受け渡し」の中に潜んでいた。