円熟期を迎えたアイントラハト・フランクフルト長谷部誠のプレーが素晴らしい。「酸いも甘いも噛分ける」という慣用句がある。さまざまな経験をしているから、どんなことが起こっても落ち着いて対処できる、という意味だ。本職のボランチだけではなく、最終ラインに入っても頭脳的なプレーで守備をつかさどり、チームの攻撃のほとんどの起点となっている、まさに現在の長谷部のプレーの境地にふさわしいではないか。願わくは、ブンデスリーガで披露するそのサッカーを、ぜひ日本サッカーに伝えてもらえないだろうか——。
■プレーで評価を一転させた!
1月18日に37回目の誕生日を迎えた長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)が、このところすっかり評価を上げている。「今さらながら」ではあるが……。
つい1か月ほど前には所属するアイントラハト・フランクフルトのアディ・ヒュッター監督が「長谷部は(2021年の)夏にはキャリアを終えることになるだろう」と語るなど、クラブ側が長谷部の引退を考えており、出場機会も減っていた。しかし、長谷部本人は「引退は決めていない」との意思を表明。そのため「Jリーグ復帰か」といった憶測も飛んでいた。
その年齢を考えれば引退の時が近づいていることは間違いない。クラブとしてはもちろん“長谷部引退後”のことを考えなければならないし、クラブ経営上も若い選手の起用を優先するのも当然の選択だ。
ところが、年が明けてすぐの1月2日に行われたブンデスリーガ第14節、バイエル・レバークーゼンとの試合にボランチとしてフル出場した長谷部は素晴らしいパフォーマンスを披露して現地でも高く評価され、クラブ側からも一転して契約更新の可能性が語られはじめたのだ。
ヒュッター監督は「勝っているチームはいじるな」という言葉に従ったのか、次のマインツ戦でも長谷部をボランチで起用。そして誕生日の前日、1月17日(日本時間ではすでに18日)の第16節シャルケ04戦でも長谷部はフル出場を果たした。