サッカー全国高校選手権と「新たな武器」(2) スローインが“そのままゴール”した試合もの画像
青森山田D F内田陽太のロングスロー 写真:西村尚己/アフロスポーツ

第1回はこちら

第99回全国高校選手権大会は1月11日、11大会ぶりの優勝を目指す山梨学院と、2大会ぶり3度目の日本一を狙う青森山田が、決勝(埼玉スタジアム)で相まみえた。キックだけでなく、スローインもゴール前に放り込まれる、迫力に満ちた壮絶な戦いは、2-2で突入したPK戦を山梨学院が4-2で制し、全国の頂点に立った。

 スローインがゴールに飛び込んだ試合も

 こうしたロングスローを多用する傾向は最近目立っていたが、とくに今大会ではロングスローを武器とするチームが多かった。

 ロングスローが多用されたのは高校サッカーだけではなかった。

 2020年の12月に行われた高円宮杯全日本U-15選手権大会の準決勝では、こんな場面があった。

 試合は鹿島アントラーズつくばジュニアユースが2対1とリードして、後半のアディショナルタイムに入っていた。1点を追う浦和レッズジュニアユースが右サイドの深い位置でスローインを得た。84分(このゲームは40分ハーフ)の“最後のチャンス”で、浦和は高橋昂平が得意のロングスローを入れたのだ。すると、そのボールがそのまま鹿島ゴールに飛び込んでしまった。

 スタンドから見ているとロングスローのボールが直接ゴールに入ったように見えたが、ルール上、スローインから直接ゴールはできないことになっている。しかし、レフェリーはこのスローインのボールが鹿島の選手に触れてからゴールに入ったとして得点を認めたのだ(記録はオウンゴール)。

 主審は確信を持って得点を認めたのだから、たしかに鹿島の選手に当たっていたのだろう。だが、鹿島側はなかなか納得できず、直後にタイムアップの笛が吹かれた後に抗議した選手が警告を受けることとなってしまった。VARが欲しい場面だった(試合は2対2の引き分けに終わったが、鹿島がPK戦に勝って決勝進出を決めた)。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4