ジダンの「CL3連覇後」帝国レアル・マドリー「ゆっくり腐っていった美酒」の画像
ジネディーヌ・ジダン監督(レアル・マドリー) 写真:AP/アフロ

 ひとつのサイクルが、終焉した。

 スペインで、強いチームが勝てなくなり始めた時、よく使われる表現だ。そして、それはジネディーヌ・ジダン監督が率いる現在のレアル・マドリーに当てはまる。

 2015-16シーズン、2016-17シーズン、2017-18シーズン、マドリーはチャンピオンズリーグで3連覇を達成した。前人未到の偉業を成し遂げ、マドリディスタは勝利の美酒に酔っていた。

■決勝の地キエフで

 ただ、あの決勝の地キエフでの出来事を思い返して欲しい。

 クリスティアーノ・ロナウドが、ガレス・ベイルが、ビッグイヤーを獲得した直後だというのに、移籍を示唆していた。最終的に、C・ロナウドはユヴェントス移籍を決断。それだけではなく、ジダン監督が電撃退任してエースと指揮官が同時にクラブを去った。

 C・ロナウドの退団は長く続いた「BBC」時代の終焉を意味した。「BBC」とはカリム・ベンゼマ、ベイル、C・ロナウドの頭文字を取ったマドリーの3トップの総称だ。ビッグタイトル獲得後の一幕は、その序列にある種の限界がきている証だったのだ。

 ジダン監督の退任はフロレンティーノ・ペレス会長にとって想定外だったに違いない。ペレス会長はロシア・ワールドカップの真っ只中にスペイン代表を率いていたフレン・ロペテギ監督と接触して、彼の就任を発表した。その時、ペレス会長には少なからず焦りがあった。それがスペイン・フットボール連盟のルイス・ルビアレス会長の逆鱗に触れ、スペインは実質上指揮官不在で2018年のW杯を戦う羽目になった。

 残った「BB」において、新たなエースとして期待されていたのがベイルだ。2013年夏に移籍金1億100万ユーロ(約121億円)で獲得したベイルをペレス会長は高く評価していた。だがC・ロナウドが不在となったチームで輝いたのはベイルではなくベンゼマだった。ベンゼマが2シーズン連続でチーム内得点王になる一方で、ベイルは負傷離脱を繰り返す日々から脱け出せなかった。

 

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