無論、システムチェンジを断行したのはクーマン監督が初めてではない。2003年に就任したフランク・ライカールト当時監督は、ダブルボランチを試していた。2004年1月の移籍市場でエドガー・ダービッツを獲得するまで、ライカールトの試行錯誤は続いた。
ライカールト時代においては、ダブルボランチにシャビ・エルナンデス、フィリップ・コクー、ジェラール・ロペス、チアゴ・モッタ、ラファエル・マルケスが入った。ウィングにはルイス・エンリケ、マルク・オーフェルマルス、リカルド・クアレスマ、ルイス・ガルシア。トップ下にロナウジーニョが位置していた。
近年では、エルネスト・バルベルデ元監督が【4-4-2】を敷いた。2017年夏のネイマールのパリ・サンジェルマン移籍を受け、バルベルデはメッシとスアレスを2トップで起用するようになった。共に在籍した6シーズンでチームの約53%の得点を記録した2選手だ。彼らの決定力に頼るのは当然だった。
一方で、バルベルデはメッシとスアレスの「前残り問題」を抱えることになった。年々、走れなくなっていくメッシとスアレスが前線からプレスを掛けられなくなり、中盤の4選手と最終ラインの4選手で守備をするというのが常態化した。それはバルセロナの諸刃の剣になっていた。