■もし「JFA夢フィード」の“海外版”を設けるのなら

 今回、海外での活動の拠点としてオランダのユトレヒトが選ばれたのは、新型コロナウイルス感染症の拡大という事態の中で、オランダの場合、日本人の入国に対する制限が緩和されていたことが最大の理由だった。オランダ政府や在日オランダ大使館も協力的だったようだ。

 こうして、結果的にオランダのユトレヒトが活動拠点として選ばれたわけだが、恒久的な「“海外版”夢フィールド」の設置場所としてもユトレヒトは悪くない選択だ。

 オランダという国は小さな国だが、ほとんどが平地で鉄道交通や道路交通は四通八達している。そんな中で、ユトレヒトは国土の中心に位置しており、鉄道交通の要衝に当たる(そのため、オランダ国鉄の本社はユトレヒトに置かれている)。

 また、オランダという国は地理的にヨーロッパ主要国の中間に位置しており、ヨーロッパの国際機関もオランダやベルギーに置かれることが多い。ヨーロッパ連合(EU)の創設を決めた条約も1992年にオランダのマーストリヒトで締結されたため「マーストリヒト条約」とよばれている。つまり、オランダ王国は「ヨーロッパの中心」と呼んでもいい国であり、その交通の中心地がユトレヒトというわけだ。

 さらに、オランダの首都アムステルダムのスキポール空港はヨーロッパ大陸における最大のハブ空港の一つで、日本も含めて世界各地と航空便で結ばれており、移動には大変に便利だ。

「夢フィールド」の設置場所として千葉県の幕張市が選ばれたのも、成田空港や東京国際空港(羽田空港)との交通の便が良いからだった。もし、「“海外版”夢フィールド」を設置するとしたら、やはり交通の便が良いオランダやフランクフルトの空港を使用できるドイツの西部ということになるだろう。

 ワールドカップでの上位進出という目標を本気で考えるのなら、あらゆることを「代表の強化」という目標から逆算してスケジュールなどを編成していくしかない。反町康治技術委員長の手腕に期待したい。

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