■入国審査はどこだ?

 ところが、アエロフロートのサイトで調べていると、こんなことが書いてありました。

「ミンスク便は国内線扱いになるのでロシアの通過ビザが必要だ」

 ベラルーシ入国の際には旅行保険に加入しなければならないとも書いてあります(空港で加入できるらしい)。

 普通、国際線から国際線へ乗り継ぐ場合は(たとえばモスクワ経由でベオグラード行きの場合)、ロシアには入国せずにシェレメチェボ空港のターミナル内で移動するだけなのでロシアのビザは不要です。しかし、ミンスク行きはロシアの国内線扱いなんだそうです。だから、いったんロシアに入国してから“国内線”のミンスク行きに搭乗するので通過ビザが必要だというわけです。

 面倒くさい! だいいち、そんな大事なことはチケットを購入する時に知らせておいてほしいものです。実際、日本の取材陣の中にはこれを知らずにチケットを手配して、大変な目に遭った人もいたようです。

 そこで、僕は慌ててロシア大使館に行って、行きと帰りにロシアに入国できるように2次入国ビザを取ってきました(これは、ミンスク行きの航空券とベラルーシのビザを持っていれば簡単に申請できます)。

 さて、こうして準備万端、僕は出発しました。セルビアからモスクワに戻り、ベラルーシに入りました。

 ミンスクの空港に着いてみると、乗ってきたのは“国内線”なので国内線ターミナルに到着します。どういうことかというとパスポートのチェックがないのです。もちろん、保険の加入も不要というか、加入手続きをしたくてもできません。出国の時も国内線ターミナルなので何のチェックもなしに搭乗できました(ただし、アエロフロート航空のカウンターでロシアのビザを持っているかどうかはチェックされます)。

 僕のパスポートにはロシアのビザとベラルーシのビザが貼ってあります。ロシアのビザには「入国した=ビザは無効になった」というスタンプが捺してあります。ところが、ベラルーシの入国スタンプは僕のパスポートのどこにも捺してないのです。

 あれほど厳格な入国制限をしている国なのに、ビザのチェックもなしに入国できてしまうとは! 硬直化した独裁国家にありがちな「いい加減さ」、つまり国境管理を担当する役人たちのやる気のなさを示しているのではないでしょうか。

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