■豊かな経験を持つ下平隆宏監督
もう一つ幸いなことは、現在トップチームを率いて良いチームを作りつつある下平隆宏監督が、かつて柏レイソルの下部組織で多くの優秀な若手を育てた経験の持ち主であるという事実だ。それだけに、ユース年代の育成については理解と見識がある指導者であるはずで、下平監督は単にトップチームを率いる監督としてだけでなく、育成部門とトップを統括する組織作りなどでも能力を発揮できるはずだ。
横浜FCは財政規模の小さなクラブだ。従って、これからもJ1でのプレーを続けるためにはかなりの経営努力が必要となる。そのカギとなるのが育成部門の充実だ。
世界中、どこの国でも財政的基盤の弱いクラブが成功を収めるためには、下部組織が優秀な選手を輩出することが必須条件だ。ユースから昇格する選手が多くなれば、トップチームの人件費を抑制することができるし、そうした選手たちを国内外のビッグクラブに移籍させることはクラブにとっては大きな収入源となる。
育成部門の充実がトップの強化につながった最高の事例が、昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでベスト4に進出したイタリアのアタランタだった。
横浜FCは、そうした方向にクラブを導いていけるのだろうか?
クラブとしては、J1での健闘を受けて、例えば巨額の資金を使って大物外国人選手を取るとか、大物外国人監督を招聘するといったリスキーな投資はすべきではない。下平監督を中心に時間をかけてじっくりとクラブの基盤作りをしていってほしい。