■ブエノスアイレス・ダービーで学んだこと
現在、高円宮杯U-18プレミアリーグは感染症対策として原則的に無観客で開催されている(入場できるのは関係者や家族、そして報道関係者だけだ)。したがって、せっかくのユースチームの活躍も、サポーターたちの目に触れる機会が少なく、それだけにあまり注目を集めることができない。
本来であったら多くのサポーターに見てほしいし、選手たちも熱い声援の下でのプレーを経験してほしいものである。
横浜FCというと、三浦カズや中村俊輔が在籍しているために「カズの出場」、「最年長〇〇記録」といったことが話題になりやすい。だが、このクラブについて本当は若い選手の台頭に注目してほしいところなのである。
プレミアリーグで横浜FCユースが浦和ユースと対戦した前日には、J1のトップチーム同士の同じ顔合わせがあった。また、日産フィールド小机で行われたユースレベルの「横浜ダービー」の直後には、ニッパツ三ツ沢球技場でJ1の横浜FC対柏の試合があった。せっかくこういうスケジュールになったのなら(コロナ対策が必要でなくなった暁には)、サポーターたちが両方の試合を見られるようにスケジュールを組んでほしい。
埼玉スタジアムやニッパツ三ツ沢のピッチ上でJ1の前座試合としてユースの試合が行われれば最高だ。もし、それが不可能なのであれば、埼スタの第2、第3球技場でユースの試合をやってもいいし、三ツ沢だったら陸上競技場を使ってもいい。
かつて、僕はブエノスアイレスのボンボネーラでボカ・ジュニアーズ対リーベルプレートのクラシコを観戦したことがある。その時には、前座としてユース同士の対戦も行われていた。ユースの試合の時から、すでに3万人ほどの観衆が入り、なにしろ永遠のライバル同士の対戦なのでインチャ(サポーター)たちはトップチーム同士の対戦と同じように熱い声援を送っていたし、ミスをすれば味方選手に対して容赦ないブーイングを浴びせかけていた。
ユース年代のうちに、そういう試合も経験しておいた方がいいのは間違いない。
いずれにしても、トップチームがJ1で健闘し、ユースも初挑戦のプレミアリーグで上位に付けるという、横浜FCにとっては画期的なシーズンを迎えている。しっかりとクラブの将来像を考えて、育ってきた若い選手たちをさらに成長させてクラブの基盤を固めていってほしいものである。