FC東京戦、前半の仙台はかなり厳しい戦いだった。時間が進むにつれて、ボールを少しつなげるようになったこと、シュートに持ち込む場面が増えたことで、プラスに捉える部分もあるかもしれない。しかし、仙台の選手がボールを持った瞬間、そこから出しどころを探す場面があまりに多かった。
ピッチレベルで見ていると、それはあまりに如実だった。急造システムなのだから当然かもしれない。とはいえ、それは“どこでボールを奪って、どこにボールを出す”のかということを、選手が持っていなかったことを意味する。1週間ですべてを落とし込むことはできないが、やはり、守備で崩れないことを優先して練習し、ボールを奪いに行く“前向きの守備”、そしてボールを保持してからの動きは、守備の代償となった感がある。
とはいえ、おそらくはそのマイナス部分を織り込み済みで、システムを変更したのだ。攻撃の拙さよりも、まずは守備で崩れないこと。それが重要だった。
だとすれば、DF石原崇兆とFW真瀬拓海の両ウイングバックが低い位置取りのために攻撃にうまく絡めなかったことも、ある程度織り込み済みだったろう。
だからこそ、12分での失点はあまりにも痛かった。しかも、仙台にとっては不運な形でのリスタートから、MF三田啓貴というかつての仙台の選手にやられてしまった。守備から入る戦い方の前提条件を崩されたのだから、これで一気に崩れてもおかしくはなかった。
しかし、東京の守備の強度が落ちるにつれて徐々にボールをつなぎ、チャンスも作った。前半終了時点でシュートは互いに6本。ボール支配率も東京対仙台で51対49。パス本数に関しては東京の218本を仙台が232本と上回ったのだ。
それでも、ピッチレベルで見た攻防は“数字”以上に一方的だった。仙台の攻撃は場当たり的で、ボールロストも多かった。間瀬拓海とアピアタウィア久という大学生選手が、探りながらの試合をすることで、パスの判断と精度が落ちたのは、どこまで想定していただろうか。また、右サイドのFWジャーメイン良になるべくボールを入れて勝負を仕掛けるという部分も、効果的ではなかった。