昇格組ウエスカをホームに迎え、必勝を期した開幕戦は1−1のドロー。敵陣に相手を押し込み続け、15本のシュートと65.5%のポゼッションを計上しながらPKによる1ゴールしか奪えなかったこの日の内容は、チームがプレシーズンから露呈してきた課題を改めて浮き彫りにするものだった。
国内外で実績を積んできたウナイ・エメリを新監督に迎えた今夏、ビジャレアルは久保建英やダニ・パレホ、フランシス・コクランらを立て続けに獲得。ライバルクラブがコロナ禍で資金繰りに苦しむ中、積極的に補強に動いたことで、開幕前から「今季のビジャレアルは本気だ」と印象付けた。
しかし、プレシーズン中に行われた5試合のテストマッチでは少なくない懸念材料が残っていた。その1つは、エメリが強いこだわりを見せていた敵陣でのプレッシングが十分に機能していないことだ。
中盤横並びの4−4−2を基本布陣に、2トップとサイドMFが相手の最終ラインを素早く追い込んでパスコースを限定。パスミスや苦し紛れのロングキックを誘発し、敵陣でボールを回収してショートカウンターに持ち込む。
8月28日のバレンシア戦、9月2日のレアル・ソシエダ戦では立ち上がりにこのプレスがはまり、敵陣深くでのボール奪取がチームの先制点につながった。
問題はこのプレスが長くは続かないことだ。先述の2試合も立ち上がりの奇襲としては効果的だったが、一度相手がゲームのテンポに慣れた後は個々の寄せが相手のパスワークに追いつかず、次々に剥がされていくシーンが目についた。