「サッカーを変える」AI分析システム『Bepro11』の全貌(3)スカウトシステムへの拡大の画像
『Bepro11』カメラのイメージ画像 提供:政本晶生
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 まさに、これまでのサッカーを変えるインパクトで登場したBepro……。そのスタートは、2014年。創設者であるルイス・カン自身がソウル大学在学中に好きなサッカーをプレーする際に、誰もが簡単に分析することはできないのかという視点から、AI分析システムをつくったのが始まりである。

 当初は学生間で行われた校内大会で使用したのがきっかけだったが、すぐにその評判は他大学へ広まり、さらには韓国サッカー協会へと広まっていった。2015年に本格的な会社創業。2017年には本社をドイツのハンブルグに移転し、欧州に進出した。創業5年満たないスタートアップであるが、既に欧州を中心に13カ国700以上のチームに使われている。既にAltos VenturesやソフトバンクからシリーズAの投資として1.3百万ドル(1.4億円、1ドル=110円換算)、シリーズBでは8.7百万(約9.5億円)、そして今年に入りブリッジラウンドとして10百万ドル(11億円)の調達をしており、さらにシリーズCでは、あの世界的なIT企業も投資準備に取り掛かっていると噂される。またBepro11は、2020年より日本における展開を開始しており、Jリーグクラブを中心に、導入に向けた検討が既に始まっているようだ。

 今後、このAIシステムが普及すると世界のサッカー界がどのように変わっていくのだろうか。Bepro11の将来のビジョンはスカウトシステムへの拡大だ。既にこのBepro11発祥の韓国では、サッカー協会が主導であるプロジェクトが進んでいる。それは、トップチームだけでなく、全高校にシステムが導入され、育成年代の選手のデータを蓄積していくことだ。つまり育成年代の選手のデータを管理することで、データドリブンなスカウト活動に役立てられるというわけである。

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