「サッカーを変える」AI分析システム『Bepro11』の全貌(2)選手全15項目のビデオを徹底解析の画像
スタジアムに設置されたカメラのイメージ 提供:政本晶生
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 映像撮影技術だけでなく、データ分析技術もこれまでの分析の常識を覆す。設置された固定カメラからピッチの距離情報を基に、AIが自動で映像から各選手のデータを計算し、ビデオ内でも「時速」「選手間の距離」が計測される。例えばDFラインを線で結び、選手と選手が何メートルの間隔を保ちながらラインを形成しているのか簡単に理解できるのだ。

 このオプティカルトラッキングは、GPSで測られていたデジタルブラジャー(※1)は不要で、ヒートマップはもちろんのこと、選手一人ひとりのパス、シュート、タックルなどの計15項目のイベント全てを分析し、ビデオクリップとデータレポートが提供されるのである。自動で撮影された映像から、「個人選手のタッチ・動き集」など簡単に抽出すること可能だ。映像と選手名と紐づける登録作業などわずかな手作業を行えば、あとはAIが「誰が、どの位置で、どんなプレーをしたか」を全て計測し、正確に情報処理をしてくれるというわけだ。これまでの強化部の仕事はこの動画編集を自分たちで行われなければならなかったが、AIであればそのスピード・正確性の比較にならないほど上がる。

 これらのデータはダッシュボードで管理される。試合後すぐに情報処理は完了しており、チーム全体の細かなスタッツが表示される。さらに選手名、例えばレアル・ソシエダの若き主将「オヤルサバル」と入力すると、その試合でのプレーエリアのヒートマップが表示され、走行距離・スプリントは時間ごとにフィルターを掛けられる。オヤルサバルが試合を通じてどの時間帯から運動量やスプリント回数が落ちてきたのか、またオヤルサバルが受け取ったパスや出したパスは誰と最も交換しているのかど、データを見れば一目瞭然である。

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