■清武をフリーにした苦し紛れのタックル
世の中、フェイクニュースや詐欺だらけ。正直者がバカを見る時代になってしまった。
残念なことだが、社会がサッカー化してきたと言えるかもしれない。
というのも、サッカーはだまし合いのゲーム。キックフェイントをはじめ、視線や身体の向きをつかってのフェイクがいたるところに出てくるからだ。
つまりサッカー選手は、嘘を上手くつき、同時にだまされてはいけない。特にゴールを守るキーパーやディフェンダーは、だまされない能力がなければやっていけないポジションだ。
ディフェンダーがだまされるパターンで、もっとも多いのがスライディングタックルを仕掛けてかわされるプレー。
タックルは最後の最後まで自重しなければならない。というのも一度身を投げ出すと、その後のプレーに関与できなくなってしまうからだ。
Jリーグには、こうした敵を利するタックルが少なくない。
セレッソ大阪が2-1で横浜FCを退けた直近日曜日8月30日のゲームでも、タックルを外されたところからC大阪の先制点が生まれた。
奥埜からのタテパスを高木がヒールで落とし、これを受けた清武がワンタッチで左に持ち出し、左足でゴール右隅に流し込む。
このとき最後に清武と対峙した横浜右サイドバックの志知は、タックルを仕掛けたがかわされ、フリーでのシュートを許してしまった。
志知が苦し紛れのタックルを仕掛けたのは、高木のヒールに釣られたことで、左に持ち出す清武の動きへの対応が遅れてしまったからだ。清武がシュート体勢のフェイクもあって、身を投げ出すしかなくなったところを完全に見切られてしまった。