鬼木達監督にとっても懸案だったはずだが、そのポジションに白羽の矢が立ったのが、大卒ルーキーの旗手怜央だった。旗手は、ここまでの先発数が「6」。同じく大卒で、得点を重ねていた三笘薫の先発数は「2」。得点を量産していた三笘の先発数が伸びず、逆に初得点まで時間がかかりながらも、旗手が先発数を伸ばしたのは、旗手を中盤で使いたいがために、川崎の試合に慣れさせていた可能性がある。三笘に比べてフィジカルが強く、急激な速度ダウンができる旗手は、三笘よりも鬼木フロンターレの中盤での適性を感じたのだろう。
その旗手が初めてのMFで2得点を挙げたのは、望外の喜びだったはずだ。それ以上に、中盤で機能したことが、川崎にとって、脇坂の負担軽減にとって大きかったのだ。今年のフロンターレは、FW、MF、DFの枠を超えて異なるポジションでスタメン起用されることはなかった。ある意味で専門性をしっかりと持たせており、FWでも出てMFでも出る旗手は特別な存在と言える。
夏の最も暑い時期が過ぎたとはいえ、ACLの再開など今後は新たな過密日程に入っていく。川崎にとって、「MF旗手怜央」は優勝への大きなピースとなるはずだ。