■ワールドカップ予選に海外組を招集できない可能性も

 Jリーグが再開され、J1、J2で各1試合ずつ試合が中止となってしまったものの、一応は順調に日程が消化されてきている。そして、川崎フロンターレの独走など話題にも事欠かない中でついつい忘れがちになってしまうが、そろそろ日本代表のことも意識しておきたいものだ。2022年のカタール・ワールドカップ出場を目指す男子のフル代表の話である。

 フル代表にとっても新型コロナウイルス感染症の影響は大きかった。2020年の3月と6月にそれぞれ2試合ずつ予定されていたワールドカップ予選が、いずれも延期となってしまったのだ。

 日本代表が最後に活動したのは昨年12月のEAFF E-1選手権大会(韓国・釜山)だったが、この時はフル代表と言っても国内組だけのチームだった。海外組も含む本来のフル代表の最後の試合といえば、2019年11月(キリンチャレンジカップのベネズエラ戦)。つまり、次の代表ウィークまで11か月も代表の活動が行われない状態なのだ。

 しかも、この間、選手たちは試合もトレーニングもできない状態が続き、所属のリーグによって2019/20年シーズンが再開されたところも、再開せずにシーズンが終了してしまったところもあり、選手のコンディションはバラバラになってしまっているに違いない。

 ワールドカップ予選は10月と11月に2試合ずつ行われることになっているが、この4試合も通常通りの開催は不可能となるはずだ。

 日本のホームゲームとして行われるのはミャンマー、キルギス、タジキスタンの3か国との試合だが、最近の状況を見れば、収容力の50%なのか、5000人なのか、あるいは無観客なのかは分からないが、観客数に制限が付くのは間違いない。少なくとも満員の観衆を入れての開催は不可能だろう。

 さらに、各国の代表チームが通常通り日本に入国できるのか、あるいはアウェー戦のために日本代表は通常通りにモンゴルに入国できるのか……。問題は日本と対戦相手の4か国の間だけではない。

 ヨーロッパのクラブに所属している選手たちが日本に帰国して、その後さらに日本からモンゴルに遠征した後、ヨーロッパ各国に戻った際に通常通りに入国が許されるのかどうか……。もし、日本から各国に到着した後、一定の期間行動の制限を受けるとしたら、それによってクラブでの試合に出場できなくなり、ポジションを失ってしまう危険もある。

 もっとも、これは日本人選手だけの問題ではない。南米各国出身でヨーロッパでプレーしている選手の場合も同じであり、現在のブラジルをはじめとする南米各国での感染拡大の状況を見ると、南米の選手がワールドカップ予選のために帰国することは日本人選手以上に難しくなるのかもしれない。

 そうしたことを考えれば、一部の国のクラブの選手を招集できないことだってありうる(“気配りの人”である森保一監督は、そうした状況になったら、代表への招集を強行しないだろう)。そして、最悪のケースとしては海外組を帰国させられず、国内組だけで戦わざるを得なくなることだってありうる。

 国内組だけなら、チーム編成に問題はないように思えるが、今シーズンの場合、Jリーグは代表ウィークにも中断されないので、「各クラブ何人以内」といった制約が付くことになるかもしれない。

 もちろん、10月、11月の4試合だけを考えれば、対戦相手とは実力差が大きいのでどんなメンバーで戦っても問題はない。国内組だけで戦っても、あるいは経験を積ませるためにU19日本代表に戦わせても(とくにホームゲームなら)問題ないだろう。しかも、日本は二次予選突破決定に王手をかけており、11月の2試合は消化試合になる。

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