久保建英「ビジャレアルでの最適ポジション」(2)トップ下での“昇華”もの画像
ビジャレアル戦での久保建英 写真:ムツ・カワモリ/アフロ
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■久保の起用法

※前編はこちらより

 例えば、移籍先候補のひとつであるセビージャのように、サイドハーフが中央に入ってきてサイドバックのオーバーラップを促すような動きは、ビジャレアルでは求められない。ユレン・ロペテギ監督はサイドハーフの選手がハーフスペースでボールを受けることを望む。

 ビジャレアルでは、守備をきちんとこなした上で、攻撃に出ることが必要になってくる。ただ、久保はマジョルカでそういったプレーを体得してきた。加えて、ビセンテ・モレノ監督のマジョルカ以上に、ウナイ・エメリ監督のビジャレアルは守備のオーガナイズが整えられたチームになるのは間違いない。それは、久保がシーズン序盤に行っていた「パスコースを消す」守備が生きてくることを意味する。守備の規律が厳しくあった方が、個人の能力で守備をするより楽になるという側面は存在する。

 もうひとつ考えられるのが、トップ下の可能性だ。ビジャレアルにはビセンテ・イボーラ、ザンボ・アンギサというボランチの選手がいる。彼らは肉弾戦に強く、回収力に優れている。イボーラとアンギサが中盤の底に控えていれば、トップ下の久保の守備の負担は軽減され、その分攻撃に集中できる。

 トップ下に入った場合、両サイドハーフとセンターフォワードの選手を久保が操るという構図が成り立つ。久保自身はトップ下かインサイドハーフを自身の適性ポジションだと考えているようだ。また、久保は元々「連携力」のある選手だ。マジョルカで個の能力を高めたが、それを新天地ではコンビネーションを駆使しながら複合的に昇華させられるかも知れない。

 無論、実際のところは蓋を開けてみてからだ。ただ、どのポジションで起用されたとしても、現在の久保であれば好パフォーマンスを見せるのではないか。マジョルカでの1年は、18歳から19歳にかけてリーガ1部で実戦経験を積むというのはそれだけの意味があったと思うのだ。

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