サッカー界のデータにまつわる逸話を掘り起こす「だれかに言いたくなる記録のハナシ」。その第1回は本田圭佑がキャリア7カ国目に選んだブラジルから。この国では2014年にワールドカップが開催されたが、「そこで試合をしたチームは必ずすぐに敗退する」呪われた試合会場が存在したのだ!
気候がバラバラのブラジル国土
最近2大会のワールドカップは2014ブラジル、2018ロシアと広大な国での開催となった。
国土が広ければ、会場ごとの気候の違いが大きくなる。実際にブラジル大会では、鬼門のような会場が存在した。
ブラジル大会の会場12都市の14年6月の平均最高気温と最低気温は以下の通り。気温の違いに驚かされる。
14年6月の月平均最高気温ー同最低気温
マナウス 32.3-25.2
フォルタレザ 31.2ー23.3
クイアバ 31.0ー19.8
ナタウ 29.1ー22.5
レシフェ 28.6ー21.7
リオ・デ・ジャネイロ 27.1ー18.5
サルバドル 26.7ー20.4
ベロ・オリゾンチ 25.5-15.5
ブラジリア 25.4ー14.5
サンパウロ 23.7-14.7
クリチバ 20.3-12.3
ポルト・アレグレ 19.9-12.5
※気象庁ホームページより
ブラジルは国土の大半が常夏だが、開催期間の6、7月は冬にあたり、南部のクリチバ、ポルト・アレグレは高地のため、最低気温が10度を下回る日も多い。
その一方で赤道に近い北部の都市、また内陸のクイアバは、動かなくても全身から汗が噴き出すほど暑い。
ちなみに日本代表がグループリーグを戦ったのは、レシフェ、ナタウ、クイアバと、いずれも酷暑の地。くじ運に恵まれなかったことがわかる。
先に触れた、鬼門の会場となったのはマナウス。アマゾンの密林を切り拓かれた都市で、一年を通じて月別の平均最高気温は30度以上、湿度も80%を超える。蒸し風呂といっても過言ではない。
ほかの会場から遠く離れていることもあり、組み合わせ抽選会に臨む出場国の大半がマナウス行きを恐れていた。
マナウスでは以下の4試合(すべてグループリーグ)が開催され、次のような結果となった。
6月14日 〇イングランド1ー2●イタリア
6月18日 〇カメルーン0ー4●クロアチア
6月22日 △アメリカ2ー2△ポルトガル
6月25日 〇ホンジュラス0ー3●スイス
この地でのゲームは、予想通りタフなものになった。
第1戦では、イングランドの選手に痙攣が続出。イタリアのプランデッリ監督は勝利を喜びながらも、「この条件でタイムアウト(この大会から導入されたクーリングブレイクを指す)を取らなかったのはクレイジーだ」と不満をあらわにし、決勝点を決めたバロテッリも「あまりにも暑すぎる。ほかの会場も暑いが、マナウスほどじゃない」と同調した。