肥大化するプレミアリーグ(前編)「世界を飲み込む巨額の放映権料」の画像
巨額の放映権料がプレミアリーグを世界の頂点へと引き上げた 写真:REX/アフロ

現在、イングランドのプレミアリーグは、世界最大規模のスポーツリーグとなっている。このモンスター級のリーグは、いかに生まれ、育ってきたのか。そして、その行く先は。現地でフットボールビジネスを学んだ筆者が、2回に分けて考察する。

「頭打ち」の報道は誤り

 プレミアリーグは昨シーズン、視聴者数が累計13億人に達した。世界を見渡しても国連加盟国のうちアフガニスタン、モルドバ、トルクメニスタン、北朝鮮、キューバを除く188カ国で放送と、まさに世界の頂点に立つリーグである。

 その世界最高峰のリーグは、天文学的な放映権料に支えられている。一部では、2019年に更新された契約料は前回より下落しており、頭打ちになったとも報じられたが、これはまったくの誤りだ。

 確かに、新契約はマイナスとなったが、これはあくまでもイギリス国内においての話である。プレミアリーグの放映権販売は国内と国外(厳密に言えばハイライトの放映権料も別枠)に分けられており、国外では地域別に各代理店が担当している。今後の肝となる国外では、放映権料は上昇の一途をたどっている。

 イギリス国内でも変化がみられる。あのGAFAの一角であるアマゾンが、パッケージ契約を結ぶ業者の一つとなったのだ。ただし、契約料は非公表。つまり、公表されている以上の金額が、国内で新たに生まれている。

 むしろ、国内での放映権獲得争いは加熱している。従来のスカイやBTといった衛星放送メディアのみならず、OTT(オーバー・ザ・トップ。DAZNのようなインターネット回線を使った動画などのコンテンツ配信業者)が参戦し、新しい時代へ突入したとみていいだろう。

 リーグ自体も、新たな形を模索している。CEOのリチャード・マスターズは、ネットフリックスのように独自のストリーミングサービスで視聴者に直接配信するプランを、現行契約が切れる22年のスタートをにらみ、公式に検討すると述べている。さらなる収入増のために、次なる戦略が常に練られているのである。

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