サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は『背番号14』に関する呪術について、大住さんが実体験もふまえて語る。
あなたは信じるだろうか、私は「背番号の呪術」を信じるーー。
サッカーで一般に最も「呪術性」に富んだ背番号と言えば、やはり10番になるだろう。1958年にスウェーデンで開催されたワールドカップで17歳の少年が夢のようなプレーでブラジルを初優勝に導き、たちまち「サッカーの王様」と呼ばれるようになった。もちろんペレである。以来、彼の背中にあった10は特別な番号となった。「キャプテン翼」の10番もその流れである。
だが私にとっての「呪術」そのものの背番号、それは「14」番にほかならない。
以前、日本代表を追いかけて取材している報道陣がユニホームをつくったことがある。「背番号の希望を出してほしい」と言われたので、私は「14番以外ならユニホームをつくらない」と宣言した。出来上がってきたユニホームを見て、私はご機嫌だった。希望どおり、「14」番がついていたからだ。
だが勇躍試合に行って腰を抜かせた。なんと「14」番が5人もいたのだ。
「全員希望どおりにした」
平然と幹事役のカメラマン氏。しかし長くサッカークラブのプレーヤー兼マネジャーを務め、次いで女子チームの監督になった「純粋サッカー人」の私には、同じチームに同じ番号の選手が何人もいて平気な彼のセンスに驚愕したのだった。
「14」番はヨハン・クライフである。