サガン鳥栖「20億円赤字」でよぎる世界のサッカークラブ「破綻の歴史」の画像
レンジャーズのスティーブン・ジェラード監督 写真:ロイター/アフロ

 4月26日、J1のサガン鳥栖の運営会社、サガン・ドリームスが株主総会を開催し、2019年度の収支が約20億円の赤字となったことがわかった。クラブの存続も危ぶむ声も出ているが、経営破綻したサッカークラブにはどんな運命が待ち受けているのだろうか。ヨーロッパ・サッカー界での先例を振り返ってみよう。

 破産宣告を受けて管財人の手に渡り、クラブ消滅という悲しい運命を辿ったのが、イタリアのフィオレンティーナだ。

 フィオレンティーナは2002年、オーナー企業が経営難に陥り、5000万ドル(当時の為替レートで約60億円)の赤字を抱えて破産。クラブを買い取る新たなオーナーが見つからず、2002ー2003シーズンのリーグ登録ができなかったフィオレンティーナは、1926年のクラブ創立から76年目にしてその歴史に幕を下ろすことになってしまった。

 しかし、地元のフィレンツェ市が主体となってクラブの再建に着手。新たな運営会社を立ち上げ、「フロレンティア・ヴィオラ」という新チームを結成して当時4部に相当するセリエC2から再スタートを切ったのである。この時、市当局の呼び掛けに応じてクラブの経営権を買い取り、オーナーとして再建を担ったのが、高級ファッションブランド『トッズ』を経営するデッラ・ヴァッレ家だった。

 クラブは2002ー2003シーズン終了後に「フィオレンティーナ」の商標権を取り戻すと、2004ー2005シーズンにはセリエAに再昇格し、完全復活を果たしている。

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