――2018年ロシアW杯では、チッチのセレソンが6回目優勝を成し遂げられるでしょうか?

「不可能なことはない。そのためには全ての試合を決勝のつもりで戦わなければいけない。確かに予選リーグは、まだ一回の躓きをリカバリーできるだろう。しかし、決勝トーナメントに入ったら、負けたら『さようなら』だ。どの試合もが、決勝戦と同じなんだ。相手もワンチャンスと思ってあの手この手でぶつかってくる。W杯という短期間の舞台では、フィジカルコンディションとメンタルが大きな鍵を握る。チッチはこれまでにブラジルリーグ、リベルタドーレス杯、クラブW杯と大舞台を経験してタイトルを取ってきた偉大なる監督だ。大きな大会に臨むにあたっての心構えを選手達に伝えられるだろう。代表チームとはいえ、大方の選手は若い。彼らを引っ張るリーダーシップが彼には備わっている。W杯本戦まで残り1年。チッチなら限られた時間の中、他国とは差をつけられる良いチームを作っていくはずだ」

――最後に。ネイマールの役割は?

「セレソンにとってなくてはならない選手に成長した。世界最優秀選手賞の有力候補にだって名前が挙がるようになっている。ネイマールと他の選手の違いは、スペクタクルなプレーで観る者を魅了すること。2014年W杯の痛手から立ち直るために、なんとかロシアW杯優勝で国民に喜びをもたらしてほしいね」

(この記事は2017年6月13日に発行された『サッカー批評86』(双葉社)に掲載されたものです)

筆者プロフィール/リオ市在住。スポーツジャーナリスト。35年のキャリアを持つ。ジーコとの親交は30年以上。ブラジル有数の新聞社の記者として、これまでにW杯、五輪などを取材し、またフリーランスとして本の編集作業、ラジオテレビの仕事もこなす。ブラジルで最も歴史と権威のあるサッカー雑誌“プラカール”の元記者。
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