――一方で、現在のセレソンに改善すべき点は見当たりますか?

「改善は彼自身がこれからもやっていくことだろう。現時点で一つの課題は、攻撃の厚みをどう持たせるか。これまでのセレソンの歴史から見ると、ブラジルにはたくさんの点取り屋がいた。今のセレソンにも若くて優秀な選手としてガブリエル・ジェズスがいるが、それだけでは層が薄すぎる。チッチの戦術にガブリエルは素晴らしくフィットしているのは事実だ。問題は、ガブリエルが怪我をしたり、累積警告で出場できない時、彼に変わる同じクオリティを持った選手が必要だ。チッチは、そんな選手が見つけられない間は、代替案でなんとかやりくりするだろうが、それだけでは足りなくなるのは明白だ」

――あなたの考える理想のセレソン像とは? またやり残したことがあったとしたら何になりますか?

「これという理想は持っていない。1982年、1986年W杯のどちらのチームも理想ではない。でも、その理由は優勝していないからというわけではないんだ。W杯に優勝するかしないかだけで、判断できるものじゃない。試合とは負けることもあるものだから。私にとってセレソンの経験で、納得いかず心にフラストレーションが溜まったことはない。不満ではなく、決勝にまで残れなかったことを今でも悲しく思っている。が、それで人生が終わるわけじゃない。私はW杯の歴史でも非常に稀な、優勝が狙えるすばらしいチームで3回ものW杯に出場することができた。しかし、この3大会で、わずかイタリア戦の一敗をしただけなのに、決勝戦まで行けなかったことが非常に残念でならない。1978年のW杯では一敗もしていないのに、得失点差で敗退になった。フランス戦は試合としてはドローで、PK戦で敗退となったんだ」

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