野心と投資は夢を現実に変えるか

 昨季はフォーメーションを3バックに固定してから安定した感があるが、今季開幕戦では4-3-3を採用。ボール保持率は70%近かったものの先制を許し、後半には追いついたが試合をひっくり返すには至らず、引き分けにとどまった。終盤に入るにつれてチャンスも増えていっただけに、決定力という点で物足りなさの残る開幕戦となった。

 その開幕戦でも多くの好機を提供し、天皇杯でも優勝に大きく貢献したイニエスタは、相変わらずのハイレベルなプレーを見せている。昨年に日本代表にも選ばれた古橋亨梧はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)など今季公式戦4戦連発と、自信が結果につながる好循環に入っている。ここ数年の投資が実り始めた流れは、これからも続くのか。

 現在リーグから開示されている最新の資料である2018年度のクラブ決算を見ると、神戸の営業収益は2位の浦和レッズの75億4900万円を大きく引き離す96億6600万円と突出している。ただし、そのうち64%と高い割合を占めるのがスポンサー収入。前年の33億5200万円から62億800万円とほぼ倍増したスポンサー収入は、そのほとんどが三木谷浩史会長が代表取締役会長兼社長を務める楽天からのものと考えるのが妥当だ(リーグ2位のスポンサー収入33億4500万円を得る名古屋グランパスには、世界的企業のトヨタ自動車がついている)。

 野心と投資は、果たして夢を現実に変える力を持つのだろうか。見ものである。

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