2020年、コロナウイルスの世界的な流行に見舞われたヨーロッパ。
プレミアリーグもセリエAも試合を中止し、リーガエスパニョーラは中断期間の無期限の延期を発表した。
バルセロナもクラブの全活動停止を早々と発表したが、この未曾有の事態が発生する以前から、チームには異変の兆候があったという。
近年、バルセロナが完全にタイトルに見放されているわけではない。だが地元メディアとバルセロニスタ(バルセロナファン)が盛んに論じているのは、「なぜチャンピオンズリーグで優勝できないのか」という点だ。 バルセロナが最後にビッグイヤーを掲げたのは2015年だ。しかしながら、それ以降、欧州王者の称号から遠ざかっている。
いったい、何が起きているのか――。世界屈指の人気チームの光と影を追う。
■解任ブースト
2014-15シーズン、バルセロナは苦境に立たされていた。
リーガエスパニョーラ第17節、バルセロナは敵地アノエタで行われたレアル・ソシエダとの一戦を0-1で落とした。この試合でベンチスタートだったリオネル・メッシが、ルイス・エンリケ監督の起用法に不満を抱いたとされ、両者の確執が取り沙汰された。ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は、スポーツディレクターを務めていたアンドニ・スビサレッタのクビを切り、会長選の前倒しを決定した。
「解任ブースト」は効果覿面だった。かくしてバルトメウ会長がバルセロニスタの怒りを鎮め、バルセロナは2014-15シーズンにリーガエスパニョーラ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグの3大タイトルを奪取。トリプレテ(3冠)という、申し分ない結果だった。
当然ながら結果を残したバルトメウ会長は14-15シーズン終了時に行われた会長選で再選を果たす。ペップ・チームを超えられるかもしれない、そんな淡い期待がバルセロナの街に漂っていた。
しかし、あの栄光の時代とは何かが違った。それを知るためには、2013年夏のネイマールの獲得、スビサレッタの解任、ふたつの出来事に相関性を見いださなければならない。