(※この記事は2016年10月28日に発行された『サッカー批評83』(双葉社)に掲載されたものです)
文・山本孔一
清武弘嗣の移籍によって、日本でも注目度が急上昇しているラ・リーガのセビージャF C。クラブ規模はバルセロナやレアル・マドリードほど巨大ではない。だが、ブレイク前の有能選手をオーガナイズすることで常に強豪であり続けている。そのメソッドは、今や「セビージャに移籍すれば成功が約束される」とまで言わしめるほどだ。そんなクラブの象徴と言えるのがSDであるラモン・ロドリゲス・ベルデホ、通称モンチ。彼にSDの真髄を激白してもらった。
名SDの目に映る日本人選手の実力
10年前、日本人選手が欧州で活躍するのは漫画の中の話でしかなかったし、ドイツで内田篤人がラウールとゴールを共に喜ぶ日が来るなんて、筆者には全く想像すらできなかった。それでも近年、イタリアやドイツ、オランダなどで日本人選手がしっかりと実績を残したことで、欧州のクラブも今では日本人を獲得することに躊躇することはないとモンチは語る。
「私見だが、今は欧州のどのクラブも日本人を獲得することに二の足を踏むことはないと思っている。なぜなら、多くの日本人がここ最近しっかりと結果を残している。もちろん、結果を残せていない者もいるが、それはブラジル、アルゼンチンでも同じこと。リーガで大きな成功を日本人は手にしていないかもしれない。それでも香川(真司)がマンチェスター・ユナイテッドやボルシア・ドルトムント、本田(圭佑)がミランでプレーをしている。ビッグクラブが日本人を獲得したのはそれだけの力があると認めたからだ。オリベル・ベンジ(『キャプテン翼』)の殻はもう破っているよ」
前述したモンチのスタッフが調べる各国リーグのネット網の中には、残念ながらJリーグは入っていない。それでもセビージャのSDは欧州のチームに所属する日本人選手、代表に招集された選手についてはしっかりとチェックしていた。