サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、ウェンブリーが魔法に包まれた日…。
■時代遅れのイングランド
ハンガリーを迎える1か月前の10月21日、イングランド代表は「FIFA選抜(実質的には欧州選抜)」を迎えて「FA創立90周年記念試合」を戦ったが、終了間際の不可解なPK判定でかろうじて4-4の引き分けに持ち込んでいた。ハンガリー生まれで、この頃はスペインのバルセロナで活躍していたラディスラオ・クバラがリードする「FIFA選抜」の攻撃はイングランドの守備を翻ろうし、イングランドのサッカーが時代遅れであることを暗示していた。
11月も下旬になればロンドンは連日厚い雲に覆われ、陰鬱な日々となる。この日もやはりどんよりと曇っていた。キックオフは午後2時15分。幸いなことに両チームの11人がスタジアム東側のゴール裏スタンドから姿を現したときには薄日が差していたが、それもすぐに去り、後半には霧も出てくるという午後だった。それでも、収容10万人のウェンブリー・スタジアムは超満員になっていた。















