大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第196回「20世紀最高の試合」(2)イングランドの傲慢を粉砕、伝説の名手たちを翻弄したハンガリーの新戦術の画像
今年のワールドカップでも頂点を狙ったイングランド代表だが、かつては驕りで痛い目を見た。撮影/原壮史(Sony α1使用)
■【画像】ハンガリー代表の新発明、イングランド代表を沈めた新システム
 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、ウェンブリーが魔法に包まれた日…。

■時代遅れのイングランド

 ハンガリーを迎える1か月前の10月21日、イングランド代表は「FIFA選抜(実質的には欧州選抜)」を迎えて「FA創立90周年記念試合」を戦ったが、終了間際の不可解なPK判定でかろうじて4-4の引き分けに持ち込んでいた。ハンガリー生まれで、この頃はスペインのバルセロナで活躍していたラディスラオ・クバラがリードする「FIFA選抜」の攻撃はイングランドの守備を翻ろうし、イングランドのサッカーが時代遅れであることを暗示していた。

 11月も下旬になればロンドンは連日厚い雲に覆われ、陰鬱な日々となる。この日もやはりどんよりと曇っていた。キックオフは午後2時15分。幸いなことに両チームの11人がスタジアム東側のゴール裏スタンドから姿を現したときには薄日が差していたが、それもすぐに去り、後半には霧も出てくるという午後だった。それでも、収容10万人のウェンブリー・スタジアムは超満員になっていた。

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